ワンちゃんの目が白く濁る!?白内障を正しく知ろう!

ふと愛犬の顔を見たとき、目が白っぽく感じたことはありませんか?
もしかしたら病気かもしれないと、飼い主さんは心配になってしまいますよね。
今回はワンちゃんに多い「白内障」の原因や症状、治療法についてまとめました。
ワンちゃんの白内障はどんな病気?
ワンちゃんの眼球の中には「水晶体」と呼ばれる器官があります。
目のレンズの役割をしている水晶体は、本来であれば無色透明。
しかしその一部、または全体が白く濁ってしまうのが「白内障」で、水晶体の成分であるタンパク質が変性することで起こります。
初期の段階ではほとんど症状はありませんが、進行していくにつれて徐々に視力が下がっていき、ついには失明してしまうことも。
■白内障と似ている「核硬化症」とは?
白内障と似ているものに「核硬化症」(かくこうかしょう)があります。
加齢による老化が原因で、水晶体の中にある「水晶体核」が圧縮して硬くなってしまった状態です。
目が青白くなり、一見すると白内障と同じように見えますが、核硬化症で視力が失われることはありません。
しかし飼い主さんが核硬化症かどうかを判断するのは難しいため、ワンちゃんの目が白いと感じたら、必ず動物病院を受診してくださいね。
白内障になるとどんな症状が出るの?
白内障の特徴的な症状は、なんと言っても目が白く濁ること。
それによって視界が悪くなり、ワンちゃんの行動にさまざまな変化が見られるようになります。
・段差でつまずくようになった
・物にぶつかるようになった
・壁伝いに歩くようになった
・ボールを見失うようになった
・散歩に行きたがらない
このような様子が見られた場合、もしかしたらワンちゃんの目が見えづらくなっているのかもしれません。
また、白内障はその進行度によって4つのステージに分けられています。
■初発白内障(しょはつはくないしょう)
症状はほとんどなく、専用の顕微鏡で見ないと白内障が確認できない。
■未熟白内障(みじゅくはくないしょう)
水晶体の一部が白濁している。
白内障の範囲が徐々に広がり、ワンちゃんの行動にも少しずつ変化があらわれる。
■成熟白内障(せいじゅくはくないしょう)
水晶体が全体的に白濁している。
視覚障害が起こり、日常生活に支障が出る。
■過熟白内障(かじゅくはくないしょう)
水晶体の成分であるタンパク質が融解。
一時的に目が透明に戻ったように見えることもあるが、炎症による痛みも伴う危険な状態。
白内障になってしまう原因は?
ワンちゃんの白内障には、さまざまな原因があります。
■遺伝
老化が原因と思われがちな白内障。
しかしワンちゃんの白内障には、遺伝的な要因が大きく関わっています。
生まれつき白内障になりやすい体質のワンちゃんの場合、6歳までに発症する「若年性白内障」が多く、早ければ子犬の段階で発症することも。
加齢性の白内障もありますが、遺伝によるものと比べると数は少ないといわれています。
■外傷
遺伝や加齢の他に、物理的な刺激で起こる外傷性の白内障もあります。
特にアトピー性皮膚炎などで慢性的なかゆみがあり、頻繁に目をこすってしまうワンちゃんは要注意。
また、お散歩のときに植え込みに顔を突っ込んで目を傷つけたり、ワンちゃん同士のケンカで目を負傷したりするのも、白内障の原因となり得ます。
■その他の病気
白内障は、他の病気と併発している可能性もあります。
特に注意が必要なのは糖尿病。
糖尿病のワンちゃんは白内障になりやすく、病状の進行も早い傾向があります。
白内障の検査と治療、どんな方法があるの?
白内障の検査は、眼圧測定とスリットランプ検査が一般的。
スリットランプ検査では、目薬で瞳孔を開いてから、眼科用の特殊な顕微鏡で水晶体や角膜の様子を観察します。
より詳しく状態を把握するために、網膜電位検査(ERG)や超音波を使った検査を行う場合もあります。
白内障とは別の病気が隠れている可能性もあるため、血液検査や尿検査をすることも。
そして、白内障の治療には「内科的治療」と「外科的治療」の2通りあります。
■内科的治療
主に目薬の点眼を行います。
しかし残念ながら、現在白内障を治せる薬はなく、炎症に対しての点眼がメインとなります。
毎日の点眼に加えて、定期的な検査での経過観察が必要です。
白内障を根本的に治療するには、手術を受ける必要があります。
■外科的治療
全身麻酔による手術。ワンちゃんの眼球を切開し、特殊な機械から出る超音波で白濁した水晶体を砕いて取り出し、犬用の人工レンズと入れ替えます。
どちらを選択するかは、ワンちゃんの状態によって異なります。
白内障の進行度や日常生活にどれくらい支障が出ているか、また手術時の全身麻酔のリスクなどを総合的に判断して決定されます。
気になることがあったら早めの受診を!
ワンちゃんは嗅覚が優れた動物です。
少しくらいの見えづらさでは、普段と変わらず生活できてしまうため、飼い主さんが気付きにくいのが現状です。
早めに発見することによって、適切な時期に適切な治療を行うことができます!
普段からワンちゃんとアイコンタクトをして、いち早く目の変化に気付けるようにしたいですね。
少しでも異変を感じたときは、早めに動物病院を受診しましょう。