先生教えて!犬って汗をかくの?

この質問に答えてくださるのは、ペット手帳Q&Aコーナーでもおなじみ、獣医皮膚科・耳科を専門とした獣医師チーム、Vet Derm Tokyoの伊從(いより)先生です。

今回は犬の汗と皮脂について詳しくお伝えします。

まずは知っておきたい皮膚のこと

犬の皮膚には次の2つの器官があります。

1.汗腺と呼ばれる汗の腺
2.皮脂腺と呼ばれる油の腺

そして、皮膚の表面は汗と皮脂の混合物である「皮脂膜」で覆われています。

汗による問題

汗が過剰に分泌されたり、分泌バランスが悪くなったりすることを「発汗不良」といいます。

発汗不良になり汗が出過ぎてしまうと、触るとベタベタします。
これを「多汗症」といいます。

汗がたくさん出てしまうことで、皮膚に悪影響をおよぼすわけです。

犬は肉球にしか汗をかかないって本当?

犬は肉球からしか汗をかかないと聞いたことのある方が多いと思います。
実際はどうなのか詳しくみていきましょう。

人や動物には次の2種類の汗腺があります。

1.エクリン腺
人間が体温調節のために汗を分泌する汗腺です。
犬は肉球にのみエクリン腺があります。

2.アポクリン腺
人間では脇や股、顔のTゾーンにあり、匂いやフェロモンに関与している汗腺です。
犬の体全体にもアポクリン腺はあります。

犬はエクリン腺が少なく、体温調節は呼吸(パンティング)でしているので、人のように滴が見えるほど汗をかくことはほとんどありません。

しかし、体全体にはアポクリン腺があるため、じんわりと汗をかくのです。

皮脂による問題

汗と間違えられやすいものに「皮脂」があります。

皮脂が過剰に分泌されたり、皮脂の質が悪くなったりすることで生じるベタベタ肌を「脂漏症」といいます。
これは多汗症と比べると比較的多い皮膚症状となります。

汗と皮脂を見分けるポイントは次の通りです。

1.水で落ちるor石鹸を使わないと落ちない
「水で落ちる=汗」と考えてよいと思います。

しかし汗も皮脂もたくさん出る子の場合など、見分けが難しいこともあります。

2.においを嗅いでみる
脂性は香ばしいチーズのようなにおい、汗は錆びた金属のようなにおいが特徴です。

実は犬も汗をかいていた!

体の汗はアポクリン腺から分泌されるということがお分かりいただけたでしょうか。

また、犬の独特のにおいもアポクリン腺から出ています。

補足ですが、皮膚科の教科書によると、滴が見えるほど汗をかいたラブラドールさんがいるとのことです。

みなさんのおうちのワンちゃんはいかがですか?

ペット手帳に登録すると
年齢や季節に合わせた専門家のアドバイスが届きます